2026/06/09 18:12

「まだほのかに香るこのチップを、もっと社会のために活かせないだろうか」

私たちの精油づくりのプロセスでは、蒸留のあとに必ず木材チップの残渣が生まれます。

その多くは畑の肥料として豊かな作物を育てるために活用していますが、私たちはさらにその先にある、もう一つの有効利用の道を模索していました。

そんな時、私は京都先端科学大学の学生たちと出会います。

彼らは地域の「子ども食堂」を自主運営し、子どもたちの居場所を守るために日々奮闘していました。しかし、その素晴らしい理念の裏では、常に運営資金の不足という現実とも戦っていました。

「この子どもたちの未来を守る活動を、一時的なボランティアではなく、持続可能な仕組みにできないだろうか」

そう考えたとき、ふと脳裏をよぎったのは、かつて祖父母が営んでいた着物の縫製工場に眠る、色鮮やかで美しい反物の存在でした。

森のチップ × 使われていない反物 × 学生たちの情熱。

私たちは「これらを組み合わせて、新しい命を吹き込んだ匂い袋を作ろう」と意気投合し、学生たちはその手でミシンを握り、何度も何度も試作を重ねました。

そうして、不器用ながらも温かみのある、世界にひとつだけの匂い袋「巡(MEGURU)」が誕生したのです。